「 毛ガニ 」
下のチビの誕生日だ。 彼女は無類のカニ好きで、誕生日は好物を指名できるので「カニでお願いします」と決まって言う。 彼女の「カニ」とは「毛ガニ」のことで、 「タラバ」や「ズワイ」では承知しない。 当日、お父さんは、早起きをして築地に行く。 ココ何年かはそれが定番になっている。
材料:活毛ガニ、昆布、酒。
「うちのチビの誕生日なんだけどさ、毛ガニ、いいのある?」
築地の場外に一軒カニを扱う店があって、いつもそこで買う。 「活きがいいの?」 「そっちの方が美味しいでしょ?」
「そりゃ、家で茹でたての温かいの食べたら一番美味しいに決まってるよ。誕生日ならサービスしてやっから、買って行きなよ」
行平に水をはって腹を上にして浸けてやると、安心したように眠りに戻った。
「海水ぐらいの塩っぱさで、カニ入れてまた湧いてきたら20分。お酒も入れて、味の素もちょっと入れるといいよ」
我が家では必ず同時に「元昆布」を買い出しているから、コレを使う。 カニを落ち着かせている間に、たっぷりの水に昆布を入れゆっくり火にかける。湧いたら昆布を取り出し、粗塩をドバッと入れる。海水と同じぐらいというのは結構な塩っぱさだ。 最後におまじないの酒を入れて一煮立ちしたらカニを投入。
どうだ。 美味しそうではないか。 普段呼んでもすぐ来ないくせに、こんなときは早い。 そうだ。 誕生日のディナーだ。 年に何回かはこんな日があるといい。
のんだくれ@きっちん さくいん
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